マイコプラズマ [医学~臨床]

天皇陛下や愛子さまの健康に関わるニュースで、
メディアで良く取り上げられているマイコプラズマ肺炎・気管支炎。
勉強し直しておきたいと思います。

Mycoplasma Pneumoniaという微生物に感染する事で
呼吸器官に炎症を起こした状態を言います。

学生の頃には、4年(3~5年)周期の流行で、オリンピックの年に流行るのが特徴的
…と習った記憶があるのですが、
最近ではその周期も崩れているようです。

原因微生物であるMycoplasma Pneumoniaは、
日本語ではイコプラズマと呼ばれる事がほとんどですが
“マイコプラズマ菌”と呼ばれる事もあり、たしかに細菌に分類されるようです。
しかし、一般的に知られる細菌とは大分性質が異なります。

大きさは細菌とウイルスの中間くらいで、一般細菌と比べるとかなり小さく
自己増殖可能な最小の微生物とされています。

症状も一般細菌による肺炎とは異なるため、マイコプラズマ肺炎は
一般細菌感染による<定型肺炎>に対して、<非定型肺炎>と呼ばれています。

感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染によるとされ
人の集まりやすいところでの流行が多いとされています。
病院内で流行する事は少なく、秘かに世間で広まったりするために
“市中肺炎“などといった呼ばれ方もあります。

潜伏期は2~3週間程度で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などの軽い風邪症状とされています。
その後、マイコプラズマの特徴とも言える乾いた咳が3~5日目から始まり、
時間経過に従って咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続き3~4週間ほどは続くようです。
この間に濃厚接触者などを中心とした他者への感染源となりえます。

その他の症状としては、嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状などがあり、
特徴的なところでは胸痛もみられ、また皮疹も伴うとの報告もみられます。

診察上は、聴診上の乾性ラ音を聞き逃さないのが肝要ですが、聞き分けが難しい事もあります。
胸部レントゲン上は、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など
実に多様なパターンをとるとされていて、特徴的な像といえるものはない様です。
その為、診断は病歴と症状・検査とを総合的に診て行うほかありません。

採血検査では、寒冷凝集反応陽性となる事が多いのですが、
他にも陽性となる疾患は多いので特異的とは言えません。(特異度低)
ただマイコプラズマ肺炎・気管支炎を疑った場合にこの検査所見が陽性ならば
マイコプラズマが原因である可能性が高いとされています。(感度高)


治療法ですが、マイコプラズマは細胞壁を持たないので、
ペニシリン、セフェムといった有名な抗生剤が効きません。
(これらの薬剤は細胞壁合成を阻害して薬効を発揮するのです。)
マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が使われます。

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