RSウイルス、シナジスの効果 [小児の発達]

RSウイルス感染時に、リスク児が重篤化しないように防ぐ対策である、
シナジス:抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体、パリビズマブ。
シナジス100箱.jpg
(画像はアボットジャパン社のHPから拝借した100mg製剤)

パリビズマブには”遺伝子組み換え”という文言が付いていますが、
この薬品が作られる過程で遺伝子組み換え技術が使われているんですね。

余談ですが、メディアなどでも良く耳にする”遺伝子組み換え”
食品などでのネガティブなイメージが先行しがちですが、
世の中には遺伝子組み換え技術のおかげで存在する製品は沢山あります。
お米だけでも、寒冷地で育つ種や、より美味しいお米の「開発」は
古代のお米を遺伝子組み換えで(交配させて)行われてきました。

また、遺伝子組み換えのおかげで判った生物化学的事実も膨大で
医療を受ける時にはほとんどの場合に、この技術の恩恵に預かっていると言えます。

“遺伝子組み換え”がネガティブなイメージとなったのは
人工的な遺伝子組み換え作物の一部に毒性が示唆された事や
生態系を壊すといったイメージが、誇大に拡がった事が背景にあるのかもしれませんね。

さて本題に戻りますが、シナジスの開発過程については
横浜市のホームページの中にある、
衛生研究所の感染症情報センターのページに詳しく記載してありました。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/rsv1.html
以下、一部抜粋させていただいて説明します。

パリビズマブの開発過程の最初には、
まずマウスで抗RSウイルスの、特異的な(モノクローナル)抗体が開発されたようです。
マウスの抗体はヒトにとって異種の蛋白質で、そのままヒトに用いる訳にはいきませんので
(抗ネズミ抗体を産生させアレルギーを生じるため)
それを避けるため、ヒトのIgG抗体の抗原認識部分だけを、
マウスモノクローナル抗体のRSウイルスとの結合部分に置き換えて、
抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体のパリビズマブが出来上がったそうです。

高度な技術が使われていますが、
このヒトIgG抗体にRSウイルス結合部位だけを置き換える部分で
遺伝子組み換え技術が使われている訳ですね。
プラスミド・コスミドなどが使われたのではないでしょうか。

いずれにせよ、RSウイルス感染時に重篤化を防ぐ対策として
有用とされているシナジス:パリビズマブは、
遺伝子組み換え技術の進歩によって得られたお薬なのですね。

何事もむやみに毛嫌いする前に、きちんと知る事は大事です。
…これって、人づきあいでも同じなのかも知れませんね(^^ゞ

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