ES細胞を使った臨床試験開始 [医学~基礎]

ES細胞を用いた臨床試験が、アメリカで始まったとのニュースがありました。
http://mainichi.jp/select/today/news/20101012k0000e040022000c.html

ES細胞由来の、神経軸索細胞になる細胞を
脊髄損傷急性期の患者さんに移植するという試験だそうです。

以前、iPS細胞について記事にした時に
ES細胞について少しだけ触れましたが
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
今回の臨床試験は、ES細胞の歴史を考えると画期的な出来事です!

余談ですが・・
今朝ちらっとみたテレビの情報番組で、このニュースの解説をしてましたが
ES細胞の作り方が全く間違っていました--;
クローンとごっちゃになってて・・嘘でも広域に広がるから怖い><


さて、どんな治療でも、もちろん良い効果を期待して行いますが
有害事象を避けるというのが医療の原則ですので(Do Not Harm !)
新しい治療を開発する場合は臨床試験というのが必要です。
治験とも呼んだりして、新しい薬を承認する時も同じステップを踏みます。

臨床試験には第Ⅰ相~第Ⅳ相までの4つのフェーズがあります。

第Ⅰ相(フェーズ1)
動物実験等で有効(+比較的無害)である事が分かった治療を
ヒトに適用する最初のステップ。
治療の安全性を検討する事が主な目的。
新薬の場合には、薬物動態や用法や用量の限界検討もなされる。


第Ⅱ相(フェーズ Ⅱ)
フェーズⅠで問題のなかった治療を、比較的少数の患者さんに使用するステップ。
有効性・安全性、新薬であれば薬物動態などの検討が目的。
多くの患者さんに新しい治療を行うフェーズⅢでの適正な用法・用量を検討する


第Ⅲ相(フェーズ Ⅲ)
フェーズⅡで検討がなされた用法・用量での治療を、より大きな規模で行うステップ。
主に、有効性を証明するのが目的となり、より公平に有効性を評価するために
ランダム化や盲検化などの試験デザインがなされる事が多い。

※製造販売承認申請
第I相から第III相までの試験成績をまとめ、治療の認可や医薬品の製造販売承認申請が行われる。


第Ⅳ相(フェーズ Ⅳ)
製造販売後臨床試験。
実際に市販して、沢山の患者さんが治療対象となった時点で
第III相までに起こらなかった未知の有害事象や副作用を検出するのが目的。
市販後調査によって行われる事が多い。


ES細胞については、別記事にしますが
この第Ⅰ相試験が「始まった」というニュースでした。
(ちなみに今回のES細胞を使った臨床試験は
この第Ⅰ相で1年間の追跡を行うらしいです)
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